いつでも、どこでも、だれもが安心できるよい医療と福祉を
2010年2月27日 全日本民主医療機関連合会 第39回定期総会
戦後の飢餓と伝染病が蔓延するなか、医療に恵まれない人びとと医療従事者が手をたずさえ、民主診療所を各地につくりました。私たち全日本民主医療機関連合会(略称:民医連)は、これらの連合体として1953年に結成されました。それから半世紀、私たちは働くものの医療機関として、何よりも地域の人びとの声を大切にし、切実に求められる医療を実践してきました。そして、人権を守るために社会保障充実の運動をすすめ、災害救援、労働災害、公害や環境などの社会問題にも力を入れてきました。
現在、私たちの施設はすべての都道府県にあり、その数は1500か所をこえ、約5万人の職員が働いています。診療所や病院、介護・福祉施設、薬局などを中心に、予防から治療、在宅ケアまで、保健・医療・福祉にわたる総合的な活動をすすめています。私たちの組織は、医療生活協同組合員や友の会会員など現在約300万人が参加する非営利・協同の事業体であり、経営を公開し、差額病床をもたず、「いのちの平等」をめざして活動しています。
政府はこの十数年来、病気や高齢期の諸問題についてその公的責任を大幅に縮小し、国民の経済的な負担を何度もふやしてきました。医療や福祉が利潤追求の対象にされ、国民にとっては、お金のあるなしで差別されるような状況がすすんでいます。結果として、日本国憲法に示される国民の生存権、健康権の保障が侵害され、社会生活全般にわたる不安が増大しています。
私たちは、すべての国民が人間として尊重される医療と福祉の実現をめざします。このことは、憲法が保障する健康で文化的な生活の基本的な条件であり、私たちの社会的使命と考えます。そのために患者さんや地域のみなさんから真摯に学ぶ姿勢をもちつづけ、科学技術の積極的な成果をとりいれ、同じ願いをもつ広範な人びととの共同の輪を広げます。
20世紀には、多くのいのちが戦争で奪われた反省にたち、平和・民主主義・人権こそ価値あるものとする世界の歩みがありました。この歩みを世界の人びととともにすすめ、21世紀が平和と福祉の世紀となることをめざし、宣言します。